車の運転やドライブが好きで、事務営業からトラックドライバーに転職したボクです。
転職を考えた当初は、タンクローリーに乗ることを目指していました。
そのために大型免許と牽引免許を取得し、危険物取扱者の資格も取りました。準備を整え、意気揚々と仕事を探し始めたのです。
ところが、実際にタンクローリーの求人を見てみると、勤務時間がかなり不規則でした。
当時、子どもはまだ3歳。家族との時間や生活リズムを考えると、あまりに不規則な働き方は難しいと感じました。
そこで最終的に選んだのが、鉄道貨物コンテナを運ぶドライバーの仕事です。
日勤のみの勤務だったので、それほど生活リズムも変わらないだろうと思って決めました。
勤務開始は朝の6時30分。
職場まで車で30分ほどかかるため、朝は4時30分に起きます。冬場は、家を出る時間になっても外はまだ真っ暗でした。
貨物駅へ行くと、ホームにはコンテナが二段重ねでずらりと並んでいます。
指示された場所へ向かい、コンテナ番号を確認すると、フォークリフトでトラックの荷台に載せてもらいます。
コンテナを載せた後は、邪魔にならない場所までトラックを移動させ、走行中にコンテナが外れないよう、ロックピンを使って荷台と連結します。
それから、配達先へ向かいます。
同じコンテナ輸送でも、海上コンテナとは違い、鉄道貨物コンテナの場合はドライバー自身が荷降ろしをすることがあります。
パレットに積まれている荷物なら、荷受け先のリフトマンがフォークリフトで降ろしてくれる場合もあります。
しかし、荷物がバラ積みされている場合は、基本的にドライバーが一人で荷降ろしをします。たまに手伝ってくれる所もありましたが、それはどちらかというと幸運なケースでした。
コンテナには、20kgの荷物なら約250個。30kg前後なら約180個、5kgなら約1000個ほど入っていることもあります。
一方で、重さは軽いものの箱が大きく、100個ほどしか入っていない場合もあります。
こういう荷物は、いわゆる「当たり」です。
ただし、20kgの荷物が250個入っているコンテナも「当たり」の部類でした。
「マジか!?」
横乗り研修の時にに聞いた時は、とてもそうは思えませんでした。
「重いし、しんどいやん!」
一人で配達に行くようになってからも、しばらくはその理屈が理解できませんでした。
この時ほど、超能力が使えたらええのになぁ、と思ったことはありません。
ところが、仕事に慣れ、いろいろな荷物を運ぶようになると、「20kgを250個が当たり」という意味が少しずつ分かってきます。
5kgの荷物を1000個降ろすよりも、20kgの荷物を250個降ろす方が、作業時間は圧倒的に短いのです。
もちろん重い荷物はしんどいです。
それでも、どうせしんどいのなら、早く終わる方がいい。
それが、先輩たちの言う「当たり」の意味でした。
荷降ろしの場合は、荷物をパレットに積んでいけばよいので、まだ気持ちは楽でした。
それよりも神経を使ったのが、コンテナへの荷積みです。
鉄道貨物コンテナは、前後左右の重量ができるだけ均等になるように積まなければなりません。
重量が大きく偏ると、鉄道輸送に支障が出る可能性があります。また、フォークリフトでコンテナを持ち上げた際に傾き、落下する危険もあります。
トラックからコンテナを降ろす時も、フォークリフトの操作によってコンテナが傾きます。そのため、中の荷物が動かないように積んでおかなければなりません。
荷物が一種類だけなら、それほど難しくありません。
ところが、重い物と軽い物、大きい物と小さい物が混在し、さらに個数も多いとなると大変です。
まず、重い荷物がどれくらいあるのかを把握します。
そのうえで全体の荷物量を見ながら、どの高さまで積むのか、どこに何を置くのかを考えていきます。
目測を誤ると、最後になって荷物が入りきらないこともあります。
そうなると、最悪の場合は積み直しです。
重量のバランスを取りながら、荷物が動かないよう、できるだけ隙間なく積んでいく。
まるで高難易度の立体パズルでした。
ほかにも、30kgの紙袋に入った荷物や液体、雑貨、割れ物、引っ越しの荷物など、さまざまな物を運びました。
それでも、ほかのドライバーの話を聞くと、ボクが担当した現場は比較的マシな所が多かったようです。
なかなかハードな仕事でしたが、普段は入れないような場所へ入れたり、いろいろな土地へ行けたりしたのは、よい経験になりました。
そして同じトラックドライバーでも、運ぶ荷物や勤める会社によって、仕事内容がまったく違うことも知りました。
なにより、自分でも驚いたのが冬場の服装です。
事務営業をしていた頃は、ヒートテックの極暖を上下に着て、その上にフリース、さらに防寒着と、これでもかというほど着込んでいました。
ところが、トラックドライバーになってからは、極暖もフリースも着なくなり、必要最低限の防寒だけで過ごすようになりました。
それだけ仕事中に体を動かしていた、ということなのでしょう。
運転が好きで飛び込んだトラックドライバーの世界でしたが、実際に経験してみると、必要だったのは運転技術だけではありませんでした。
体力に加えて、段取りを考える力や、荷物を組み合わせるパズルのような感覚も必要でした。
重い荷物を見て「ハズレや」と思っていたボクが、いつの間にか「これなら早く終わるから当たりやな」と思うようになっていた。
環境が変われば、服装だけではなく、物事を見る基準まで変わるものなのだと思います。





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